Peanuts Kingdom 学園ヘヴン

本当の理由

君にもきっと、忘れられない思い出があることだろう。
すごく楽しかったこととか、
すごく幸せだったこと。
すごく悲しかったことや、
すごく辛かったことも、忘れられないことかもしれない。

俺が忘れられない思い出は、
啓太とすごした日々。
幼い啓太からもらった、
それまで望むことも知らなかった、輝けるもの。
啓太と一緒だったから、気づくことができたんだ。
啓太と出会えなかったら、俺はいったいどうなってただろう。

「いつか、一緒の学校に行こう、約束だ」

本当は、泣きじゃくる小さい啓太をなだめるために出た、ズルいウソだった。
でもそう言って別れたあと、その言葉は小さなトゲとなって胸にささっていた。

俺だって、ずっと啓太と一緒にいたかった。
あんなになついてくれた啓太に、ウソなんてつきたくなかった。
でも、どうしようもなかったんだ。俺は、アメリカに行かなくちゃいけなかったんだから。
寂しさと罪悪感。
啓太、ごめん。啓太をあんなに泣かせて、悲しませて、ごめん。
啓太と別れて時間がたてばたつほど、啓太への想いがつのった。
無邪気にすがってくる小さな手が恋しかった。
"どうやったら一緒の学校に行けるようになるかな"
ぼんやりと、そんなことを考えるようになった。
小さな啓太をなだめるために出た方便が、
いつしか俺の夢になった。

だからさ、啓太。
小さい頃の約束だけで、こうしたわけじゃないんだ。
他にもいろいろ理由はあったけど、それもすべて、
俺が啓太と一緒に学校に行きたいという夢を、正当化するためのものにしか過ぎない。
学園の制服に腕を通した俺の姿をみて、石塚だって苦笑いを浮かべてたよ。
これは俺のわがまま。
俺の、夢。

夢を手に入れた今、この夢を守るために、俺はなんだってするつもりだ。
それが、啓太をひどく悲しませたことへの償い。
おまえはもう忘れてしまった痛みかもしれないけど、
この俺の胸にはずっと残っているから。
啓太を幸せにするためなら、俺は、なんだってするんだ。

だから啓太。俺を信じてくれ。

MVP戦最中設定。
いろんな理由があって啓太を学園に呼ぶことになったわけですが、
和希自身のプライベートな理由ってこんな感じだったのではないかと。
”輝かしい過去”を取り戻すべく、啓太を呼び寄せる夢を抱いたわけですが、
もし、啓太があまりいい子に育ってなかったら、
夢ブチ壊しで、和希は人間不信に陥ってしまいそうですね。
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