Peanuts Kingdom 学園ヘヴン

おはよう

「おはよう、和希!」
朝、会えば交わす、あたりまえの一言。
でもそれが、おまえの口から、俺に向けて発せられた言葉だというだけで、
こんなにも嬉しくなる。
「おはよう、啓太」
朝日をうけて輝く啓太の笑顔がまぶしくて、目を細める。
啓太は今日もにこにこ、機嫌がよさそうでなにより。
「昨夜はよく寝られたか?」
「あぁ、ばっちり!ここのベッド、結構いいものなんじゃないか?横になると、すーっと眠れるんだ」
「そうか・・・啓太は寝つきがいいんだな」
そういえば、小さい頃も昼寝するとすぐ寝ちゃってたもんな。
小さかったからなんだろうけど、今もそうなのかと口元がゆるんでしまう。
「和希は寝つき悪いのか?」
「そうだな・・・特別悪いほうではないと思うけど」
でも、このところはまったくダメ。
だって、啓太がこの学園にいるんだぜ?
啓太が来てからというもの、啓太のことしか考えられなくなってる。
どうやったら啓太がこの学園で楽しく過ごせるかとか。
・・・いつか、俺のことを思い出してくれることがあるのだろうか、とか。
たとえ思い出してくれなくても、啓太と一緒にいれる、
啓太と一緒に学校に通える、その夢が実現できたのだから、満足なのだけど。
でもやっぱり、と、早々に次の夢を抱いてしまってる自分がいる。
俺は結構欲張りみたいだ。
こと、啓太に関しては。
「和希、寝つき悪いのか〜・・・なんかおまえって、苦労性っぽいもんな」
「えっ、俺ってそうみえるのか?」
「うん。だってさ、俺にたいしても、すごく面倒見がいいだろ?なんかいろんなことに気を配っていそう」
「そうか・・・」
へぇ・・・啓太は俺のこと、そう見てくれてるんだ。
気配り、か・・・仕事上での気配りなら、自信あるけど。
面倒見がいいというなら、それは啓太だからだ。
呼び寄せた以上、俺に責任がある。
啓太の人生に関わってしまったんだ。
絶対、啓太には幸せになってもらいたい。
幸せに・・・したい。
「だってさ」
俺がそう言うと、啓太は「うん?」と首をかしげた。
そんな啓太をみると、俺の頬には自然を笑みが浮かぶ。
「俺たち、友達じゃないか」
そう言って啓太をみると、啓太は少し驚いたような顔をした。
あれ?まさか啓太・・・俺のこと、友達じゃない、なんて思ってるわけじゃないよな?
思わず少し不安になってしまったけど、啓太の言葉はまた俺を笑顔にするような言葉だった。
「和希って・・・本当に友達のこと、大切にするんだな」
「まあな。俺っていいヤツだろ?」
「そういうの、自分で言ってたら意味ないだろ!」
そう言って啓太が笑うのをみて、俺もまた笑った。

啓太に、「おはよう」って言ってもらえるこんなに幸せな日々を、
俺はまた、手に入れた。

転校して間もない、まだ退学勧告を受ける前のある朝の情景です。
お題は 【"おはよう"その一言がこんなにも嬉しい。】でした。
和希もまだ啓太への恋愛感情は意識してないっぽい。
これかた和希は、啓太の素直でいい子な面をさんざんみせつけられ、
恋におちていくのです。
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