Peanuts Kingdom 学園ヘヴン

消毒

「啓太、なにやってるんだ?」
和希の言葉に振り返った啓太は、人差し指を口にくわえていた。
なにそれ、なにそのポーズ、誘ってる?誘ってるのか?!
和希の頭の中でなにかがスパークする。
でも啓太はなぜか悲しげな顔をして、くわえた人差し指を口からはなした。
「ささくれ、むいちゃったんだよ〜」
「ささくれぇ?」
「気になっちゃって、つい・・・でも引っ張ったら予想以上に皮がむけちゃって・・・」
「あ、ああ、もういい。なんかきいてるだけで痛くなってきた」
わかるわかる。ぴーっと皮が細くむけちゃって、しかも下にいけばいくほど傷が深くなっていっちゃうんだよな。
想像しただけで背筋がぞくぞくしてしまう。
「・・・血、出たのか?」
「うん・・・まぁ、ちょっぴりだけど・・・でも舐めると痛いんだよ」
「そりゃそうだろ。どれ、ちょっとみせてみろよ」
啓太が素直に指をさしだすと、和希はその手をとりまじまじとみつめた。
「あー・・・こりゃ痛そうだ。また血がにじんできてるぞ」
「なかなか止まらなくてさぁ・・・絆創膏もないし」
「まぁ、ちょっと舐めときゃ治るだろ。絆創膏ならあとで俺がやるよ」
「ん、サンキュ、和希・・・っ?!」
突然、啓太はびくっと体を震わせた。
なぜなら和希の口内に、指が引き入れられてしまっていたから。
ちゅ、と指先を吸われれば、痛みとともに奇妙な感覚が呼び起こされてしまう。
「ちょ、ちょっと和希、なにやっ・・・んっ」
ざらりと舌で傷口を舐められ、痛いんだけど、なんだかもぞもぞしてしまう。
和希は指を唇で軽くはさみながら、啓太をみつめた。
「な・・・」
「啓太の味がする」
「っ」
啓太は顔が熱くなるのを感じた。
こんなこと・・・なんかもう、エッチすぎる!
「か、和希、やめろよっ、こんなとこで・・・」
「なにが?傷口を消毒してやってるだけだろ?血も吸ってやってるだけだし」
そんなこと頼んでないよと啓太は言いたかったけど、執拗に舌を絡ませてくるその感覚に、じわじわと熱が体の奥からこみあげてくる。
血を吸う、だなんて・・・好きな人にしてもらいたいことじゃないのに。
ときおりピリッと走る痛みが、よけい背徳的で・・・
「やっ・・・和希・・・」
啓太が頬を赤らめ、細かく震えているのをみて、和希はようやく指を開放してやる。
指先にチュッ、と軽くキスなんかして、ニコ、と微笑む。
そんな和希を啓太はうらめしそうににらんだ。
「感じちゃった?」
「っ、ば、バカッ・・・!」
和希は満足そうな笑い声をたてると、ふぅっと啓太の指先に息をふきかけた。
「血は止まったみたいだけど、一応俺の部屋で消毒しようか」
「和希の部屋で・・・?」
啓太の血は、和希にとっては最高級のワインよりも甘美なものに違いない。
とろりとした瞳で熱っぽくみつめられれば、啓太もうずいてきてしまう。
「・・・もう、手ぇ離せよ」
「返事は?」
「・・・・・・わかってる、だろ・・・っ」
和希は満足げに微笑むと、もう一度、啓太の指先にキスをした。

お題【2.紅く、甘美なもの】
啓太は忘れてるみたいですけど、先に誘うようなことをしたのは啓太の方ですから!
むしろ和希は被害者ですから!
ま、被害者とはいえ、結局おいしい想いができるのだからオーライですかね〜。
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