Peanuts Kingdom 学園ヘヴン

月 8:00

コンコン、と、規則正しいノックの音から俺の朝ははじまる。
ドアをあければそこには、すっかりしたくのできた和希が立っている。
「おはよ、啓太」
「おはよ」
俺がこの学園に転校してきて以来、
こうして毎朝和希は俺のことを迎えにきてくれる。
なんだか手間をかけさせて悪いような気がして、
もう一人でも大丈夫だよと言ったこともあったけど。
そう言ったらひどくがっかりしたような表情で「迷惑か?」なんてきかれちゃったから、
そんなことない、って首を横に振っちゃって、それで――今に至る。

「啓太、まだ寝グセついてるぞ」
「ハンカチ持ったか?」
「宿題、ちゃんとやったか?」
・・・なんて。
おまえは母さんか!ってツッコミたくなるほど、和希はかいがいしく俺のこと気遣ってくれる。
MVP戦のときも思ったけど、和希って本当に俺のこと・・・大事にしてくれる。
どうしてここまでよくしてくれるのかって、不思議におもってそうたずねると、
「だって俺達、友達だろ?」
ってウィンクしながらこたえる。
ウィンクって・・・そういうの、友達に対してするか?普通。
アメリカ帰りの帰国子女だから許せ!なんていうけどさ。でも・・・

「あ、ほっぺにパンくずついてるぞ」
「えっ」
指摘されて、はっと手をやる間もなく、
ちゅっ
「っ!?」
「あははー、ごちそーさま」
「〜〜〜っ、和希っ!」
・・・まったく。
なにかしらにかこつけてキス、してくるんだよな、こいつ・・・
ホモかよ!ってつっこむと、ちがうちがう、って両手を振って否定するんだけど、さ。
アメリカだと、たとえば家族同士で父親が息子の頬にキスするのなんてあたりまえのことだし。
和希が俺のこと、それこそ家族みたいに思っててくれてて、
それで、親愛の証としてキスしてるだけ、と思えば・・・それほど不快ではなくなるんだけど・・・
でもやっぱり恥ずかしい。それに・・・
和希の唇の感触をふと思い出してしまったりすることもあったりして。

すこし湿ったやわらかな感触。
ちゅっ、て軽く水音がして離れていくと同時に、和希の香りだけがあとに残る。

・・・なんて!ちょっと!ヤバイって!
そんなこと思い出しちゃったときは、恥ずかしくて恥ずかしくて。
頭にかぁっと血がのぼっちゃって、くらくらめまいまで起こしてしまう。
あぁ、やっぱりこういうのはちょっと困るかも!

「どうしたんだ啓太。なんか顔が赤いぞ?」
「っ、べ、べつにっ?」
おまえが変なことするからだろ!
「なんでもないよっ!あ、ほら、和希、そろそろ行かないと・・・」
「あ、もうこんな時間。朝食ゆっくりとりすぎたか。行くぞ、啓太っ!」
「えっ、ちょ、ちょっと、和希っ!?」

いつのまにか握られた、手。
俺を強引に引っ張っていく、暖かな手。
絶対に、俺を置いていかない、一人にしないと言ってくれた和希が、
今もこうして、俺のそばにいてくれる。
一人でも大丈夫なんてウソ。
和希がいなければ寂しい。
和希が俺に向けてくれる好意が嬉しい。
ちょっと困ったことをしてきても、
俺はやっぱり、和希のことが好きなんだ。

書いてて、見事に「ヤマなし、オチなし、イミなし」だな〜と思ってしまった・・・。
月曜日から始まる7のお題より、【月 8:00】でした。
MVP戦後、友達ED後ですね。
和希のベクトルが啓太にむいてるのはもちろんですが、
啓太のベクトルもしっかり和希にむいてます。
ということで、無理やり啓太片思いカテゴリにUP。
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