Peanuts Kingdom 学園ヘヴン

ぬくもり

ふ、と眠りから覚める。
たしかにここは自分の部屋なのに、
隣にぬくもり。
あぁ・・・・・・そうだ。昨夜は啓太が泊まりに来たんだっけ・・・

眠っているときは一人きりなのに。
こうして目を覚ますとそこにはたしかに彼がいた。
ぐっすり夢もみずに眠ってしまっていたのは、
眠る前にたっぷり夢のようなひとときを過ごしてしまっていたから。

彼を抱きしめる腕に、彼の指が痕をつけた。
俺によりそう頬を、彼の涙が濡らした。
もっと泣かせて、もっと鳴かせて、俺を啓太で満たして欲しいと。
傷つけたくないと、守りたいと想う、ただ一人の人なのに、
こんなにも激しく、熱く、彼を欲してしまう。

そんな、昨夜のことを思い出すだけで、じん、と体の芯が熱くなる。
その熱を逃がすため、そっと吐息をついた。

啓太の寝顔がみたくて、彼を起こさないようにそっと体をそちらへ向ける。
すぅ、すぅ、と規則正しく寝息をたてているけれど、
髪は昨夜のなごりでひどく乱れてて、たぶん起きたら風呂場へ直行だろうなと、一人微笑う。

・・・こんなにも愛しい存在なのに。

どこもかしこも触れたくて、キスしたくて。
その反応もいちいち俺を煽るものだからどうにも止まらなくなる。
本当にこんなことでいいんだろうか・・・
自分は、間違ってはいないだろうか。
もう後戻りはできないとわかってはいても、なにがあっても啓太を守ると決意はしていても、
もし、俺が彼に触れることがなければ、啓太はもっと違う人生を送っていたに違いないと思うと、胸が痛くなる。
俺自身、自分ではどうすることもできない人生だった。
鈴菱の後継者として生を受け、そのとおりの人生を歩んできた。
そのことに不満なんてない。
俺は俺なりに、そうした自分の人生を楽しんできた。
だけど啓太は・・・
俺が・・・こんな想いを抱かなければ・・・・・・

この学園に呼んだこと、
この想いを伝えてしまったこと。
深く啓太の人生に関わってしまったことをいまさらながら重く感じる。
俺は・・・大丈夫。
啓太さえそばにいてくれれば、俺はなんだってできる。
啓太さえ望んでくれるのなら・・・いや、俺のそばにいたいと、そう願うように、俺はなんだってする。
でも啓太・・・啓太は本当にそれでいいのか?

不意にこみあがってきた不安に耐えかねて、俺はくるっと啓太に背を向けた。
・・・これ以上啓太をみていたら、なんだか泣き出してしまいそうだ。
胸を黒く塗りつぶそうとする不安を、俺は必死で押しとどめた。

「ン・・・」

ふわ、と、背中にぬくもりが感じられた。
啓太が・・・俺の背中によりそって・・・・・・
トン、と啓太の頭がおしつけられ、すりよせられる。
そしてまた、すぅ、すぅと、啓太は寝息をたてはじめる。
啓太・・・
無意識なのか、それとも俺にだからそうしているのか?
それでもこうしてなついていくれる啓太への愛しさで、体が震えそうになる。
さっきまでの不安は雲散し、喜びで胸がいっぱいになる。

絶対後悔などさせない。

俺は再び啓太の方へとふりかえって、彼の体に腕をさしいれ抱きしめる。
啓太は嬉しそうな顔をして、俺に抱かれやすいように腕を縮こませた。
すり、と顔を俺にすりよせ、満足げな吐息をつく啓太。
乱れた髪に指をさしいれ、そっと彼を抱き寄せた。

ただ好きだから、という理由だけではかたづかなくなるのが大人ってやつでして。
とくに和希はいろんなものを背負っているから、よけいにいろいろ気をまわしてしまうんだと思います。
そんな風に力の入りすぎた和希をリラックスさせるのが、癒し効果バツグンの啓太なわけでして♪
啓太は和希のいい奥さんになれると思いますv
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