Peanuts Kingdom 学園ヘヴン クラブ ドリーム ヘヴン

クラブ ドリーム ヘヴン Girl's Side

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02.レッスン

あまりに綺麗な横顔だったので、
心惹かれて、目が離せなくなった。
夜風に吹かれる髪は長く、ゆるい巻き毛が空を舞っている。
ほっそりとした体型とその容貌から女性かと思ったけど、
私の視線に気づいて振り返ったその瞳には、妖しい光を宿してて。
「そんなところに貴女のような女性が一人、あんまり無防備だとやけどをするぞ」
そう言って "彼" は微笑んだ。

その微笑は今も、心にしっかり焼きついている。
私にやけどを負わせたのは、ほかならぬ西園寺さん自身。

「そんなのこと知らない。私は基本的にフェミニストなだけだ」
冗談めかしてそのことを愚痴ると、西園寺さんはそう言って至極嬉しそうに笑う。
いたずらをみつけてもらってかえって満足する、猫のように。
「でもまさか西園寺さんがホストだなんて思わなかったもの」
「だからはウブだというんだ。だいたい、ホストが自分でホストですと言ってまわるか?」
「言わないけど・・・」
「それに。この店を教えたのは私だし、最初にを誘ったのも私だが、
次に来るかどうかは次第。強制もしてないのに私を指名してくるのはおまえだろう」
「う・・・」
結構なお言葉。
どこがフェミニストですって?
痛いところをぐりぐりついてきて、意地悪なことこのうえない!
「じゃあ・・・もういいもの。もう西園寺さんを指名しないわ」
スネて西園寺さんから顔をそむけると、耳の後ろでフフッと低く笑う声がした。
「そんなこと、私が許すはずがないだろう?」
はっとして振り返ると、いつのまにか身を寄せてきた西園寺さんの整った顔が目の前にあった。
店の照明が映りこんだ瞳は金色に光って、その視線はまっすぐ私に向けられていて。
細められた瞳をふちどる睫の濃さに、またついみとれてしまう。
「・・・ほらまたその顔。少しは用心するとかいったことを覚えたらどうだ?さもないと・・・」
西園寺さんの瞳がさらに細められて、顔が、ぐっと近づいてきた。
す、と鼻先が触れそうになりながら、顔が傾けられて・・・
「ひゃああっ?!」
キス、される!と思った瞬間、自然と西園寺さんを避けるように体が動いた。
いきおいよく身を引きすぎたせいでソファからずり落ちそうになってしまった。
そんな私に西園寺さんはあきれたようにため息をついた。
「反応がニブすぎる。というか、そこまで避けられるとかえってこちらが傷つく。
どうせ逃げるなら、もっとスマートに逃げてもらいたいものだな」
「そっ、そんなこと言われたって・・・っ」
ソファから身を起こそうとじたばたする私の目の前に、西園寺さんの手が差し伸べられる。
「ほら、つかまれ」
「う・・・」
素直に手を差し出してみると、その手をぐいとつかまれ抱き起こされた。
背中にも手がまわされているから、さっきよりずっと西園寺さんとの距離が縮まってしまっている。
「・・・あ、ありがとう」
「どういたしまして」
西園寺さんはそう言うと、そっと体を離してくれた。
西園寺さんが触れてた箇所がひやりと感じて、ようやっと人心地を得る。
はぁ・・・私、本当に緊張してたんだな。胸もどきどきしてるし、顔も熱い・・・。

一見女性のようにはかないかと思いきや、こんな風に私を惑わす。
さっき私を抱き起こしてくれた腕も、身をまかすに遜色ない頼もしさがあった。
私にキスしようとせまる表情には男の色香を感じて・・・思い出すだけで頭に血がのぼる。

「まったく・・・これだからはほうっておけないんだ。
には悪いが、たとえが他のやつを指名しても、私がいくからな」
「えぇ?」
なんてことを言うのかと、ぎょっとして西園寺さんを振り返ると、
彼はソファの背もたれに片肘ついて、またチェシャ猫のような笑みを浮かべていた。
「おまえが上手に男をかわせるようになるまで、私がおまえをレッスンしてやる」
「レッスン?!」
「見た目はまぁまぁレディだと、初めて会ったときから思っていたが、
中身はまだまだだからな。の見た目に惹かれて寄ってくる悪いムシを、
自分で駆除できるようになるまで、私がそばについていなければ心配だ」
「悪いムシって・・・それって西園寺さんは入ってないの?」
あまりに言いたい放題の西園寺さんに、嬉しいと思いつつもちょっと反撃してやろうとそう言って軽くにらんでみる。
すると彼は。
「私は悪いムシなどではない・・・が、まぁ、そのへんは次第だな」
「それって・・・私次第で西園寺さんも悪いムシになりえるってこと?」
「美しい花に惹かれる男のサガ・・・というやつだ。それを受け入れるか否かは次第だからな。
わたしも、という花の蜜を独り占めできるようつとめよう」
なんかこれって、おもいきり狙われているような・・・
でも、西園寺さんみたいに素敵な人にそう口説かれるのは、やっぱり悪い気はしない。
妖艶すぎる西園寺さんの顔にまたみとれていると、彼はククッと笑った。
「ほら、また無防備なその顔。・・・今度は本当にキスするぞ?」
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